@article{oai:lib.sugiyama-u.repo.nii.ac.jp:00003550, author = {阿部, 純一郎 and ABE, Junichiro}, issue = {54}, journal = {椙山女学園大学研究論集 : 人文科学篇・社会科学篇・自然科学篇, Journal of Sugiyama Jogakuen University. Humanities, Social sciences, Natural sciences}, month = {Mar}, note = {米軍が駐留する世界の国々と比較して,日本がきわめて高額な駐留米軍関連経費を負担 してきたことはよく知られている。現在,防衛省の「在日米軍関係経費」は約6300億円 (令和4年度予算)に達し,同年度の防衛関係予算全体(約5兆4000億円)の11.7%を占 める(防衛省・自衛隊HP)。日本政府が駐留米軍支援のために負担している経費は広範 囲に及ぶが,そのうち3分の1を占める「在日米軍駐留経費負担」(令和4年度予算は 2056億円)は,かつては日米地位協定のもとで米国側が負担してきた経費だった。これ が1978年度に始まった通称「思いやり予算」と呼ばれるもので,それまで日本側の負担 は米軍に提供される土地・建物の取得にかかる経費(主に借上料と補償費)に限られてい たが,当時の防衛庁長官・金丸信の裁断により基地従業員の労務費の一部を肩代わりして 以来,地位協定の拡大解釈や期限付の特別協定締結1()第一次は1987年)をくり返しなが ら負担範囲を拡大し,現在は基地内の施設整備費や光熱水費まで負担している。1978年 度は62億円弱だった「思いやり予算」は,翌年負担範囲を拡大して一気に約280億円(前 年比4.5倍)に膨張し,その後も右肩上がりで増えていき,ピーク時の1999年度には2756 億円(初年度の45倍)に達した(前田 2000:第3章)。  膨張を続ける駐留米軍関連経費への批判を受けて,日本政府は2000年度以降,経費の 一部見直しに着手した。そのやり方は大きく分けて2つあり,①施設整備費に関して,娯 楽性の高い施設(非軍事施設)を日本政府負担で新規に建設することは控える,②労務 費・光熱水費に関して,費用負担の上限額を定めて負担額の膨張を抑えるというものだ。  ただし①に関しては,2000年度以降「提供施設整備」の支出は減少したが,「SACO 関 係経費」で新たな基地建設経費が支出されており,実質的な負担額は減っていないとの指 摘もある(川瀬 2011: 271)。また,日本政府の要請により基地の移転がなされる場合,代 替施設の移設費用は日本側が支払うという慣例により,日本政府負担で娯楽施設の新設が なされる場合がある。例えば沖縄のキャンプ瑞慶覧に存在した泡瀬ゴルフ場返還に際して (2010年7月返還),日本政府は返還条件として,嘉手納弾薬庫地区に代替ゴルフ場「タ イヨーゴルフクラブ」(2010年3月開場,事業費は計134億円)を新設した2)。また,米軍 空母艦載機の厚木飛行場から岩国飛行場への移駐に伴い,2016~2018年度にかけて岩国 基地内に売店,福利厚生施設,下士官クラブ,レストランを日本政府負担で整備した例も ある3)。さらに近年では,普天間基地の辺野古移転計画の一環として,2021年にキャン プ・シュワプ内にボウリング場やダンスホールを整備する方針が示され,国会で問題と なった4)。  ②に関しても,経費の効率化を図るためには,費用負担額や従業員数の上限を設けるだ けでなく,個々の施設や職種の必要性・妥当性をチェックする必要があるが,そうした権 限は米側が実質的に握っており,日本側は支払った費用がどこに,どれほど使われている かを十分把握できていないのが実態である5)。  日米安保条約に基づく日米地位協定のもとで,日本政府が駐留米軍に対していかに多大 な財政支援を行ってきたかは,前田(2000),川瀬(2011),松山・浅井(2018)の調査研 究に詳しい。本稿では多様な受入国支援のなかでも米軍への娯楽提供の問題に注目し,こ の問題をめぐって歴史上どのような批判がなされてきたか,政府関係者はいかなる論理・ 解釈を用いて米軍への娯楽提供を正当化してきたかを分析する。}, pages = {75--93}, title = {ポスト占領期における米軍娯楽施設のポリティクス : 米軍ゴルフ場に関する国会議事録の分析}, year = {2023}, yomi = {アベ, ジュンイチロウ} }